自立と共生

梅干のお手がら

角田の産直ものがたり。

角田の農家では今も昔ながらの製法で梅干しをつくっています。 庭先に実をつけた青梅を天塩としそで漬けこみ、三日三晩土用干ししてできあがるひ なたくさい素朴な梅干しです。この梅干しがひょんなことから、とんでもないお手が らをたてることになってしまいました。

角田市農協が安全性を重視した農畜産物の地場流通をめざして、産直に取り組み始め たのは昭和四十五年のこと。そして四十七年には農協として日本で初めて日本生協連 に加盟し、農産加工農協連合会を発足させました。生産者、消費者、地域住民が協同 し、暮らしといのちを守る農業の理念、そして農業者の真心を「安全・安心・新鮮・ おいしい農畜産物」にこめて、消費者に届けること・・・それが地域農業の理想の姿 と考えたからでした。こうして生産者と消費者の顔の見える関係づくりに力が注がれ ました。生産の現場を消費者が知り、消費者の要望を生産者が知ることは産消提携の 出発点といえます。かくして角田に食の安全を求める人たちが訪れるようになり、あ る日産直交流でお茶受けに農家の自家用梅干しが出されました。この梅干しが添加物 ゼロの自然食品として高く評価され、角田の日常生活の中には価値あるものがもっと あるのではないか・・・と農村の伝統的な暮らしに目が向けられたのです。間もなく 梅干しの産直が本格的に開始され、梅の果樹園と梅干しの加工場が誕生しました。こ うして梅干しは農産加工の草分的役割を果たし、安全農産物生産運動の原点となった のです。消費者との絆に支えられて、みやぎ生協との交流は二十年以上に及んでいま す。冬の寒さ、夏の洪水。厳しい自然との戦いの中で、農産物が生産されることを交 流に訪れた人たちは目のあたりにし、私たちは健康管理を食に求める消費者の熱意に 触れました。こうして、土を大切にし農薬と化学肥料を減らす努力の輪が広がり、野 菜、米、果樹、加工品、減反田を利用して栽培した花と、産直品目は増えていきまし た。花が咲いてからは農薬を使わないので、もぎたてをそのまま食べられるイチゴ、 季節を追って旬を大事にした野菜の詰め合わせ「グリーンボックス」、農薬の空中散 布を全面禁止した有機低農薬米などは、特に話題となっています。そしてこうした私 たちの活動は、「朝日農業賞」「環境保全型農業農林水産大臣賞」という評価を得た のでした。